中央防災会議が定めた「首都直下地震対策大綱」において、発災後3日間程度を応急対策活動期としていること、また、発災時の被救助者の生存率は4日目以降激減することから、発災後3日間は救助・救出活動を優先させる必要があります。
そのため、従業員等の一斉帰宅が救助・救出活動の妨げとならないよう、発災後3日間は企業等が従業員等を施設内に待機させる必要があります。
従業員が施設内に留まれるように、3日分の水・食料等を備蓄しておきましょう。
条例では、3日分の水・食料・その他必要物資の備蓄が努力義務となっています。
また、震災の影響の長期化に備え、3日分以上の備蓄についても検討しましょう。
以下の備蓄の目安を参考にしてください。
●水:一人当たり1日3L、計9L
●主食:一人当たり1日3食、計9食
●毛布、保温シート:一人当たり1枚
●その他:物資事に必要量を算定
従業員260人の企業A社を例に必要な備蓄量を計算すると、以下のようになります。
また、教助の観点から、来社中の顧客・取引先などの施設利用者分として10%を加えた286人で計算しました。
●水:計2,574L(2L 1,287本)
●主食:計2,574食
●毛布:計286枚
●その他(簡易トイレ):計4,290回
備蓄品は誰でもすぐに使える場所に保管しましょう。
配布作業の軽減や個人の防災意識向上等の視点から、事前に備蓄品を従業員等へ配布しておくといった方法もあります。
備蓄品を保管する場合は、消防法令等の違反状態(障害物で避難通路を塞ぐこと、スプリンクラー設備の放水ヘッドを塞ぐこと、自動火災報知設備の感知器が設置免除されているPS(パイプシャフト)、機械室等を倉庫として使用すること等)とならないよう注意しましょう。
高層ビルに所在する企業等においては、エレベーターが停止した場合に備え、備蓄品の保管場所を分散させておくことも考慮する必要があります。
自社ビルの場合、複数フロアに備蓄品を常備することや、休憩室や会議室の空きスペースを利用して、特定の場所だけに備蓄品を集中させない工夫も大切です。また、来訪者への配慮から、応接室にも備蓄品を保存すると良いでしょう。
企業防災の観点から備蓄品を用意する際、予算だけでなく保管スペースの課題もあることから、従業員全員分を用意することが難しいケースも考えられます。しかし、企業は安全配慮義務を負っているため、災害発生時に従業員の安全を確保する適せるな措置を講じる必要があります。
また、備蓄品を用意できでも、普段の業務が忙しくて備蓄品の管理まで手が回らないという声もよく聞かれます。そのような場合、備蓄品の管理を外部へ依頼する方法もおすすめです。
災害が発生した際、「備蓄品の数が足りない」「水や食料品の賞味期限が切れていた」ということにならないよう、日頃から備蓄品の管理を徹底することが大切です。